2008年9月14日日曜日

映画「おくりびと」


あらすじ

リストラを機に帰郷した、チェロ奏者の大悟。
高給と短い労働時間にひかれ 求人に応募した彼だが、
その内容は棺へ遺体を入れる納棺師という仕事だった。


早速、話題のこの作品を公開初日に観てきた。

山形県内の地方メディアでも、
大々的に取り上げられていた。

特に、ロケ地になることで場所提供やエクストラ出演など
撮影に協力した皆さんの喜びは一際大きいことだろう。

驚いた事は
この映画の発案者は何と、主演の本木雅弘との事!


作品の舞台は、山形県の庄内地方。

おいしい米の名産地である庄内平野と
北方にそびえる鳥海山。
最上川や周辺の水田は白鳥の越冬地として有名。

そのような美しい景観は
チェロの柔らかい響きとともに
至高の映像美を作り上げている。
ただし、それらはあくまでも
人工の味付けたっぷりコテコテの嫌らしさは皆無で
私たちにとっての原風景を感じさせるような
自然さ、親しみやすさがある。

冒頭の地吹雪シーン。
私は真冬の庄内は未体験だが
庄内出身者の地吹雪のスゴさについての見解は
皆きれいにそろっているものだ。
あの土地の子供達は皆、
あの嵐の中を自転車に乗って学校へ通うのだ。

育った環境がその人の人間としての基幹部分に
多大な影響を与えるとしたら
厳しい庄内で育った者の気質は間違いなく
『辛抱強さ』
の一言であろう。


物語の中心的な街は酒田市。

かつて、日本海の北回り航路の重要港として栄えたが
いまでは休日の駅前商店街でも人影まばらな寂しさがある。
子供が少ない。若者も少ない。
大悟のように都会に出ていく者が少なくないのだ。

この作品中 随所に
そんな酒田の街並みが織り込まれている。

  
  

私たちのすぐ傍にあるのに
でも、普段あまり意識して考える事も無い
そんな主題を複数編み込まれている作品だ。

人間の死とは何か。
残され、生きてゆく事とは、何か。

一生続けていける仕事とは。

そして
親子の絆とは。

 

大悟の父親は小さな音楽喫茶を経営していたが
雇っていたウェートレスと共に家を出ていってしまう。
それっきり
父親は戻っては来なかった。
幼かった大悟は父親の顔も覚えていない。

私は
家族を捨て暮らしてきた一人の男の納棺に
立ち会った事がある。

密葬が終わり、火葬の前になって
ようやく駆けつけた実の息子。どんな様子だったか。
父の記憶などほとんど残っていないのだろう、
これがお父さんなんですよと言われても
どうして良いかわからない
そんな表情だった。

映画も終わりに近づいたとき
大悟が叫ぶセリフが痛い。
私も子供を捨てた親だからだ。


名画と言わざるを得ない。
それくらい良い作品であった事は間違いない。


9月15日 追記;

映画は暗く重苦しいようなところはあまりなく
むしろ笑えるところもあって
全体的にリラッスして観る事ができる。
物語の中に引き込まれ、気がつくと終わっている。
130分という時間の長さを感じさせないほど。

本当に素晴らしい映画だと思う。
多くの人に是非見てもらいたい。


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