2010年9月5日日曜日

海苔の養殖のはなし(石巻・渡波)

今回の旅の目的の一つは、
私たちニッポン人の食卓に欠かせない伝統食である、海苔の養殖について見聞すること。

この日は、現地の若手海苔養殖家で組織される青年研究会(…だったと思う)の方々から、海苔養殖の概要を説明してもらう機会に恵まれた。



海苔と言えば…
私自身、海藻の一つだという事以外、予備知識が無かった。
冬になると、海に漬けておいた網にくっついたモノを収穫する風景が地域のニュース番組から流れるのをテレビで見た事があるくらいだ。そう、さんざん食べてはいるのだが、「海苔の養殖は網で行う」それくらいのイメージしか持ち合わせてはいなかった。

知らなかったなぁ…

海苔は大きく分けて2つの形態をとるという。
私たちが食べる、海藻としての海苔は「葉状体」とよばれるもの。だが、海水温が高くなると「糸状体(しじょうたい)」という生き様(?)に変わる。海苔は、暑い春から夏の時期は葉状体では生き延びられない。そこで海苔は生殖を行い果胞子という子孫を残してゆく。果胞子は貝殻等の石灰質へ穴を掘って潜り込み、糸状体となって、暑い夏を生き延びる。糸状体は貝殻の中で暑さに耐えつつ胞子嚢をつくり、やがてこの胞子が秋になると発芽し、葉状体へと成長する。糸状体が夏の間に作る胞子こそ、言わば「海苔のタネ」なのだ。


この度、海苔の養殖に励まれている方々の声を直に聞く事で、改めて、どんな食べ物も無駄に出来ないと感じ入った。私たちが普段口にすることができる食品を、タネを植え付け育み、真冬の吹きッさらしの海の上で収穫し、顔も分からない人々のために流通してくれる人々…そのような人々への感謝の念を忘れてはいけないと肝に銘じた。
間違いなく有意義なひとときであった。

ということで、今回の投稿は、研究会の方々の話を思い出しながら、9月から始まるという海苔の採苗作業についてご紹介。

さて、
石巻湾漁協の共同かき処理場に到着すると、始めに下の写真のような光景が目に入ってくる。何やら水車のようなものが10台以上かな、水しぶきを上げながらくるくると回っているのだが…






中には回転していないものが。
良く見ると、水車の様に見えたものは"水車"(水の力で回っている)ではなく、モーターで回転させられている"輪っか"だった。輪っかの下部はきれいに濾過された海水で満たされた水槽に浸っている。この"輪っか"には海苔の養殖網が幾重にも巻き付けられている。


"輪っか"回転させる事で、その下の水槽の水に養殖網をじゃぶじゃぶと浸す事ができる。この水槽の中に海苔の「タネ」を放してやる事で、養殖網にそのタネを付着させる事ができるのだ。

かつて、海苔は網を海に浸して自然にタネが付着するのを待つ、というやり方で育てていたらしいが、近代以降はこのように、陸上で養殖網に海苔の胞子を確実に付着させてから海で育成するという「人工採苗」という方式をとる。

この日(8月29日)は採苗の準備作業中。ベテランの漁師さん達に、養殖網の巻き付け作業を見せてもらう。





続く

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