2011年4月5日火曜日

宮城県農業高等学校


大津波の発生から三週間。
宮城農業高校を訪れた。

被害発生後、間もなく
実習担当の先生達は学校の再建へ向けて動き出していた。

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関連項目:
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津波をまともに受けた建物や小屋は、とんでもない力によって破壊、流失した。


水の破壊力の恐さを知らされる。
当時、これらの建物が破壊されていく前で波が引いていくのを待ち続けた生徒や教職員達の恐怖は計り知れない。



倒壊を免れた牛舎。しかし、内部にはこのように大量の土砂や漂着物が堆積している。


震災当時学校にいた先生達の自動車は全て、水に浸かるなどして使用不能になった。
しかし、この日も、先生達は自転車通勤などしてこの学校に集まり、個人所有の機械を動員するなど、ありとあらゆる手段で、漂着物や堆積した土砂を取り除く作業に当たっていた。津波直撃による倒壊・流失を運良く免れた施設は、どうにか再使用可能との事。

再びこの学校で、生徒達と家畜の世話をし、学ぶために。



良く見ると、上写真の牛舎は窓の上まで水没したと判る。津波の直撃がなかったため、建物自体に大きな損傷は無い。



上の写真右手に、建物から運び出された土砂の山が見える。



牛舎内は、ここが土砂だらけだったとはにわかに信じ難い程、きれいになっていた。



通路には、牛の置物が。
ここまで片付けた先生たち。本物の乳牛を受け入れる意気込みは充分である。



だが、このような多大な努力をないがしろにするかの様な動きが。
4月1日、宮城県教育委員会は、震災で大きな被害を受けた県立高校について、今後の授業再開等の方針を発表した。
東北地方太平洋沖地震災害に対応した県立高校再開の方向性について
◇ 宮城県農業高等学校

・柴田農林高校 , 亘理高校及び加美農業高校の 3 校に分散して学校を再開する 。
・併せて , 仮設校舎の建設を進め , 平成 2 3 年 9 月を目途に移転する 

一体なぜ、このような結論へ至ってしまったのか、個人的には理解できない。


「分散して学校を再開」とは…??

そのような形態で、果たして授業が成り立つのだろうか。復旧作業に当たる先生の一人は、生徒たちの事をとても心配する。避難生活を強いられ、お互い離ればなれだった子供達に、さらなる負担を強いる事にならないだろうか。


そして、何より、"もったいない"のでは?
1977の移転以来、名取市下増田の現在地で農業者教育を担ってきた宮城農業高校。
校舎だけでなく、家畜舎や実習圃場など、多くの施設をゼロから建設するとなると、莫大な予算が必要になる。宮城県の教育予算がどれほど乏しいものか、納税者たる県民は皆知っている。また、だいいち、新しい実習圃場が完成するまでの間、生徒達の農業実習ができない、または他の農業高校を借りての不完全なものとなる心配がある。

本当に、移転・新築が必要なほど「校舎使用が難しい」のか?
被災時、そこで生徒たちと一夜を明かした先生の話では、宮農の校舎自体は一階が完全に水没したものの、建物構造自体には大きな損傷は見られないとの事。
子供達へ肉体面、精神面、そして金銭面で多くの負担がかかるであろう事が容易に予想できる移転方針。現状を見ようとせず、お役所の偉い人たちが机上だけの議論で結論を急いだのではないだろうか。

復旧作業に当たる先生の一人は語る。
設備は復旧できる。もちろん、完全に元通りとまではいかないまでも、実習題材としてそれらの復旧作業を生徒たちにやらせるのも良いかもしれない。海水をかぶった田んぼも大丈夫。実はこれまで何度も海水に浸かった事があったが、1年間塩を抜けば、また作物が育つ様になる。

そう、私たちが遭遇するであろう災害は、何も地震や津波だけではない。
太古の昔から、私たちの祖先は自然災害に苦しめられてきた。台風は毎年の様にやってくるし、大雨、洪水、大雪、冷害、干ばつ、火山の噴火…数多くある。この度の大津波は確かに、いま生きている世代が遭った事のない大災害だったかもしれない。だが、そのような大災害に遭った実習場の立て直しという、滅多にない、大きく、やりがいのある課題ができたことは確かだ。


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3 件のコメント:

匿名 さんのコメント...

今は防波堤等が一切残ってないので又津波が来た場合遮る物がないのでその場所で授業をするのは危険であると判断されたようです。
実習の先生たちはまたあの場所で実習が再開出来るよう今でも毎日清掃してます。
それが無駄にならないといいのですが。
上の人の判断はわかりかねます・・・

匿名 さんのコメント...

私が在学していた時にも、大雨で名取川が氾濫して、辺り一帯が水浸しになったことがありました。
この程度のことじゃ、宮農はへこたれないと信じています。

16PK さんのコメント...

海水をかぶった耕作地ですが、今日、興味深い話をラジオで聞きました。アイスプラントという作物。塩分が必要だそうで、産地ではわざわざ塩を畑に撒くのだそうですね。これを作付けすることで、土壌の塩分除去と一石二鳥できないだろうか、というリスナーからのメッセージでした。